Vol.53「整備で使うハンドツール」
07.22.2024 | カテゴリー, Ryo Okuda's Blog
皆さんこんにちは。トーランスのメカニックのRyoです。
毎回自分の趣味の話ばかりして、あまり仕事関係の話をしないのですが今日は珍しく自分の仕事に関連する話をしてみようと思います。
ちょうど今月でエコドライブで整備士として働き始めて10年目に入りました。整備業界に入って25年目になります。25年やってても日々の学習しなくてはいけない事は絶えないものです。
自分が楽しいことをして、それでお客さんが喜んでいただく。そんな仕事は自分にとって天職だと思っています。そして日々成長できる環境に感謝しています。
ここアメリカの自動車整備士はすべて自前の工具のみで仕事します。一般的には会社の共用工具みたいなものは無いので、使いやすい工具や質の良い工具を選び使うことで自分の仕事効率につながります。もちろん日本でも自分の持前の工具はありますけども、基本日本ではインパクトレンチや特殊工具、少し大きい工具になると会社の備品となります。
特殊工具などのは話しても少し難しい話になってしまうので、通常の整備で行うハンドツールについて今回少し話してみようと思います。
ハンドツールの中でもいろいろ種類があります。ボルトやナットを緩めるときにいろいろな種類の工具で緩めたり閉めたりすることができますが、今日はラチェットと言われる工具について説明してみようと思います。
ラチェットは一定方向には力が加わり、反対方向には空回りすることで、1回1回工具を外して付け替えないでも連続して緩めたり閉めたりすることもできる工具です。このON, OFFのレバーで閉める方向、空回りの方向を変えれます。
ラチェットレンチ単体では何もすることができなく、ラチェットレンチにソケットと言われるボルトナットのサイズによって異なるサイズの工具、エクステンションバーと言われる長さを調整する工具を組み合わせて使います。
ラチェットの中でも色々種類がありますが、今回はハンドラチェットハンドルに限定してみます。
自分は数ある工具の種類の中でラチェットハンドルが1番好きです。その理由として何点かありますがまずラチェットの空転するときの音が好きです。
最近は結構電動工具やエアーツールと言われるパワーツール系が増えてきたので、ハンドラチェットを使っての作業も減ってきましたが、今でもやはり基本はラチェットレンチを使って作業することだと思っています。
全く同じ工具でも自分が使ってるラチェットと他人が使っているラチェットを見分ける事は、使えばできます。工具には自分の癖のようなものがつくので音の感覚や握った感じ。そういったものが同じ工具でも変わってきます。これがまた愛着につながって、工具を大切にすると言うことにも繋がると思います。
そんなわけで今持っているハンドラチェットを何本持ってるのか数えてみました。電動や特殊なチャットなどを省いて、手動ラチェットレンチのみで14本ありました。(家で使いたく2本持って帰りそのままなので写真は12本ですが)
もちろんソケットのサイズ、そしてラチェットの形、そして長さなどが全て違うので、作業によりこの14本を使い分けます。
1番短いものは、このように手のひらにこれを収まるようなサイズ。
とても可愛いですよね。1/4シリーズのソケット達を使います。
一番スタンダードなのはこれでしょうか。
3/8シリーズのソケット達を使います。
今持ってる中で、1番長いものはこの24インチの首振りラチェット。
1/2シリーズのソケット達を使います。なにげにこの24インチは毎日のように使います。
良く使うのはこのシリーズで正式名称はラウンドヘッドラチェットと言います、この様に首を振るので使いやすいです。
レバーの切り替えのところのデザインがメルセデスベンツのエンブレムに似ているので日本ではベンツって呼ばれていました。
これ以外にもパワーツールでは電動ラチェット1本、エアーラチェットが2本あります。
もちろん、この14本+3本を1回で買ったわけではないので、気づいたらこの本数になっていたと言うのが正しいです。
自分の知ってる職業の中では、美容師さんなどもハサミに1本1000ドルとかかかったりと言う話を聞きますが、数で言うと我々整備士はかなりの数の工具を持っています。
整備士を始めた頃は頂いた給料と工具を買う値段が同じ位になる時もありましたが、今思えばそんな経験もありの今があると思い、良い思い出です。
不思議なもので、新しい工具は「またお金が減ってしまった」と言う感覚より、「また新しい相棒ができた」と嬉しい気持ちになります。「この工具を使ってどのように効率よく仕事ができるか」と思うとワクワクするんですよね。逆に言うとその工具を見たときに仕事の効率改善が思い浮かべば買います。アメリカでは良いシステムなのが、毎週来てくれる工具屋さんに自分の支払いアカウントがあり、残高に対して毎週いくら払うか相談して「今週はいくら払います」などという感じで分割で払ったり、毎回全額は払っていません。これが良いのか悪いのか買うか悩むときはこのシステムがよく背中を押してくれ買ってしまいます。(笑)
工具屋さんのバンセールスに関しては過去のこちらのブログでも。