エコドライブ工場長Ryoが徹底解説!~プリウスにハイオクのすすめ~

08.29.2022 | カテゴリー, メンテナンス・修理部門

前回はガソリンの種類について勉強しました。

見逃した方はこちらのリンクから!

 

今回は「プリウスにハイオクをおすすめする理由」について解説していきたいと思います。

※アメリカのガソリン事情による部分が多くアメリカ在住者向けの記事となります

※この記事はあくまで私たちのこれまでの整備経験から得た現場の意見であり保証できるものではありませんので、あくまで自己判断でお願いいたします。

 

1)エンジンのノッキングを軽減できる


 

プリウスはスポーツカーでもないしハイオクは必要ないんじゃないかと言われますが、車は走行と使用を重ねていくに連れて、燃焼室内にカーボンやスラッジなど言ってみれば燃えカスのようなものが溜まってきます。これが火種になって燃料が引火したいタイミングより早く着火してしまうことがあるのです。プリウスも他の車同様に燃焼室内にカーボンやスラッジが溜まることでノッキングが起こることがあります。メンテナンスや修理でも改善が見られない場合にハイオクを入れることによってノッキングを抑える効果が期待できます。

 

2)燃費性能が向上する!


車が本来持ってる燃費性能が落ちるのもやっぱりアメリカのガソリン性能によるもの。アメリカでよく出回っている「混合ガソリン」と言われる安いガソリンは不純物が多く含まれているのでプリウスのインジェクターが詰まり、噴射状態が悪くなり結果的に燃費が低下します。

インジェクターというのはエンジン内部でガソリンを噴射する装置で燃費を良し悪しを左右する燃費にとっても重要な部品。ガソリンをインジェクターで霧化し、気体に近づけることでいかに細かく噴射できるか、というのが性能の鍵となります。不純物をできるだけなくしたガソリンであるハイオクを使用することでこのインジェクターを詰まらせずに良い噴射状態を保つことで燃費性能を向上させることが出来るのです。

 

アメリカの混合ガソリンとは?☝

ガソリンに対してエタノールを混ぜて薄めているガソリンのこと。アメリカではE-10と言って「E」とはエタノール(Ethanol)の頭文字で、「10」は混合比率を表しています。すなわちE10とは、「ガソリンにエタノールを10%混ぜた燃料」のことを意味しています。また、混合するエタノールは石油から化学的に合成したものではなく、植物から作られる「バイオエタノール」を使っています。アメリカでは15%までエタノールで薄めても合法に販売はできます。ちょっと安いガソリンスタンド(固有名詞は避けますが)はほとんどの場合がE-10のガソリンを使っていますつまり10%はアルコールが混ざっているのです。このようなガソリンを使うと燃料ポンプやインジェクターの潤滑不足、フィルターのつまり燃焼効率の低下によって修理代がかかったり燃費の低下につながります。これまでの日本の法令では、ガソリンに混合できるエタノールの上限を3%と定めていたため、3%を超えるエタノールを混ぜた燃料を販売することができませんでしたが、法令改正されたことにより、2012年4月から国土交通省の定めた保安基準を満たすことが認められた車両にのみE10(バイオエタノール10%混合ガソリン)を給油することができるようになりました。

また、自動車メーカーの状況としては、新車においてはE10に対応できる構造を備えた車両を販売するメーカーもありますが、既販車の多くはE10に対応していません。アメリカでここのガソリン安いんだよねと言われるガソリンスタンドで、ノズルの周りをよく探してください。E-10と書かれていることが良くあります。

 

ハイオクをいれるメリット☝

エンジンへの負担軽減、エンジン内部に汚れが溜まるのを予防、燃費向上が主な3つのメリットです。

エンジンの燃焼はたき火ではないので、ただ燃えればいいのではなく、できるだけエンジン内のピストンで空気を圧縮してから引火させないと、燃焼圧力も上げられません。燃焼圧力を高めるには、圧縮比を上げるか、過給器でブーストをかけるのが基本です。逆にいえば、圧縮比をどこまでスムーズに上げられるかが、トルク向上と燃費の向上の大きな鍵を握っています。この圧縮比を高めるためには、ピストンが上昇している途中でガソリンが自ら圧縮熱で着火するとパワーロスにつながり燃費の低下になります。

例を上げると自転車を漕いでいることを想像してみてください。どの時点で漕ぐ力を入れていますか?無意識なんですけど上死点(一番上)を少し通り越してペダルが下がりかけるときに足に力を入れています。エンジンは同じようにピストン運動(上下運動)を行いますが、オクタン価が低い場合、着火性が良いので経年劣化によりカーボン、スラッジが燃焼室内にたまってきた場合、それが火種(高温になり)ピストンが上昇中(圧縮中に)燃料が着火してしまいます。つまり自転車を漕いでいるときに一番上に向かっている途中で下向きの力が加わってしまうという事です。力出ませんよね。これがノッキングの原因で燃費の低下、エンジンダメージにつながります。空気は圧縮されると高温になるので、自ら着火しやすい燃料だと圧縮比が上げられない、エンジン本来のパワーが出ません。だから高性能、高効率、高出力のエンジンほど、着火にくい燃料、ハイオクが必要になるという事です。

 

「着火」と「引火」の違い☝

「着火」と言うのは燃料自らが火種がなくても火がついてしまう状態を言います。着火の例をあげれば、天ぷら油をフライパンの中に入れて下からコンロで加熱したときに一定温度以上になると火を直接油の中に入れてなくても油が燃えますね。これが着火です。

そして、アルコールランプを点火させる時のように、マッチなど火種で自ら燃料に火をつけることを「引火」といいます。燃料と言うのは着火性が悪いほど良く引火性が良い方が良いのです。オクタン価と言うのはこの違いです。

 

車というのは一台一台コンディションが違います、レギュラーガソリンで全く問題ない状態の車もありますし、今説明したようにガソリンによって状況を改善できることもあります。とても奥が深いのです。

私は常日頃、お客様には一般的に有名なガソリンスタンドで91のガソリンを入れることによって今説明したようなことが防ぐことができる、または少し改善することができると伝えています。「少し高い」だけではなく整備代を抑える、そして燃費の向上につながれば日頃ガソリン代の差は元が取れるものです。

嬉しいことにノッキングしてるお客様や調子が悪いお客様などで来店されて、「まずは91のプレミアムガソリンを何回か入れ続けてください」と言うアドバイスをしたお客様は、その後電話をかけていただき本当に調子が良くなった。「今までなんでもっと早くできなかったのか」など嬉しい言葉をもらうことがよくあります。

以上が私の今までの経験や調べた結果等に基づいた判断なので、これは100%他の整備士の方が同じ意見かと言うのは保証はできませんが、少なからず事実に基づいたことを説明しております。「ガソリン」に関して参考になれれば幸いと思っております。

 

※アメリカのガソリン事情による部分が多くアメリカ在住者向けの記事となります

※この記事はあくまで私たちのこれまでの整備経験から得た現場の意見であり保証できるものではありませんので、あくまで自己判断でお願いいたします。

 

エコドライブ

奥田りょう

 

 

 

 

 

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