今年でメカニック歴20年。節目にメカニック人生を回想してみました(後編)

10.14.2020 | カテゴリー, スタッフ日記, Ryo Okuda's Blog

なんとか20代でアメリカに来て、思った以上にトヨタでの経験と1級整備士の肩書はリスペクトされすぐに仕事は見つかりましたが思うように行かない事だらけでした。

 

日本では共用工具と言って会社で皆で使う工具などあり、工具箱も支給でしたので自分の工具は最低限で済みます。がアメリカでは工具箱(箱と言っても冷蔵庫のようなサイズ)から特殊工具まですべて自分持ちです。工具が足りな過ぎて最初の数年は給料の半分くらいは工具にお金を使っていましたね。(笑)整備士あるあるですが、工具と工具箱に使ったお金は自分の乗っている車の値段以上です。(以上というより今となっては数倍ですね)(汗)会社やお店を移るときはU-HAULでトラックを借りて引っ越しのように移動します。

 

あとはもちろん最初は、英語が問題で修理所を読むのが苦痛でした(笑)パーツも電話で頼むので嫌でした。そしてお客さんに説明するのも毎回緊張していましたが、それ以上に毎日故障する車が来て基本アメリカでは、「走らない、エンジンかからない、オーバーヒート」など、手に負えなくなって来るので、経験値はものすごく上がりました。20万マイルとかも最初は驚きました。そして幸い語学は整備士の場合日本でも横文字が多いのですぐに慣れました。アメリカでは整備士の資格がいらないので、雇ってさえもらえたら誰でも今日からメカニックです。(笑)それがアメリアの良くないところなんですけどね。日本では修理に出せば直って帰ってくるのは当たり前ですが、こちらではもっと壊されたり、「ほかにも不具合がある」とかよく言われているお客さんをよく見ます。

 

アメリカには強制ではないですが、整備士の資格があるにはあります。ASEといってA-1からA-9までエンジン、トランスミッション、電気回路、サスペンション、、などなど9種類で試験は英語のみですが、全部に合格すると ASE MASTER MECHANICの称号がもらえます。自分は2018年にASEマスターメカニックになれましたが、これもまた肩書など大した意味がなく、この年になってまた勉強できたことが楽しかったと思えます。そのことに挑戦して、続けることに意味があると思っています。

 

そしてあるときに、整備とは「原理原則」であるという事に気が付きました。つまり物事にはきまり(システム)がありそれを理解していけば原則から外れているもの、つまり不具合が見つかるという事です、逆に言うと仕組みを理解しないと不具合はロジカルに見つけることはできないです。トランプの神経衰弱のように感と記憶だけで追うのでなく、ソリティアのようにカードをどこにどうすれば連鎖して物事が解決して行くかです。目をつぶって「ここだ!!」と不具合が見つかるような第6感があればよいですけどね(笑)。

 

同じ車で同じ不具合でも、お客様の使い方や価値観によってお勧めする直し方も変わってきます。それを知るためには単に「作業」になるのでなく「仕事」になるよう極力お客様と話していろいろなことを聞き出せるように心がけています。

 

気づくとこの仕事をしてると、日常生活でもすごく物理的に理屈っぽい人間になっていきます。何事も調べるととが好きになり、説明書なども完読しないと気が済まなくなります(笑)「直感で」とか「なんとなくで」というのが嫌いになってきます、、ある意味職業病です。偶然起きたことも、何かの原理があって起こったのかと考えてしまうような感じです(汗)

 

我が家の奥さんは感覚派なので、自分と一緒にいるのは大変だと思いますが、家庭的には足して割る2をして、ちょうどよい感じでバランスが取れてるといったとこでしょうか。

 

(おしまい)

 

RYO OKUDA

 

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